
トップクリエイター、手塚眞さんのインタビューが掲載されました。
2024年12月13日
アニメ制作業界は、長年にわたり深刻な課題に直面しています。
過酷な労働環境、タイトなスケジュール、手作業に大きく依存する40年以上も変わらない制作プロセス、制作者の高齢化と後継者不足、さらには知的財産権保護への懸念から新技術の導入が遅れるなど、問題は山積しています。
双子アニメTikToker「ひなひま」アニメ化プロジェクトは、業界全体がアニメ制作の課題に真剣に向き合うきっかけとなることを目指しています。
そしてクリエイターとAIの向き合い方に対して、トップクリエイターである手塚眞さんと安彦良和さんへインタビューを行いました。
今回は手塚眞さんのインタビューを紹介いたします。
インタビュー全文は以下よりご覧いただけます。
https://anime-hinahima.com/interview01/
【手塚眞さんインタビュー ※一部】

AIはCG登場の時と同じ?抵抗感と進化の歴史
―以前、手塚治虫先生作品で、AIをサポートツールとして使用し、新作を作られるというプロジェクトをされていたかと思います。その辺りを踏まえ、AIとクリエイティブの関わり方についてご意見をいただけますでしょうか?
【手塚】
基本的にあのプロジェクトは私主導のものではな く、「NEDO」という経済産業省主導の国立研究開発法人のプロジェクトなんですね。AIの開発者たちが、AIでのストーリー型コンテンツの開発と、画像生成AI技術を用いて、「漫画」というものにアプローチしてみたもので、そこにこちらから「手塚治虫のコンテンツを使ってそういうものができますか」と提案した形になります。
ですので、あくまで研究の実証実験の発表でした。
―既に亡くなった方の画風やお話が、まるでご本人が描かれたようにお話とか絵が生成されるとしたら、技術的にすごい一方、不安・嫌悪感を感じる人もいると思われます。
そういった法律だけではない、人の気持ち・生理的な部分について当事者の方としてはどのようにお感じになりますでしょうか?
【手塚】
長年映像をやってますので、その中で革命的な技術の進歩もありました。
例えば80年代ぐらいにコンピューターグラフィックス(CGI)が出てきましたね。
これに対して当時もすごい抵抗がありまして、危機感を感じている方からは、「俳優・スタントマンはいらなくなるんじゃないか」「監督がいらなくなるんじゃないか」みたいなことまで言われたんですけど、今のところいらなくなってはいませんね。
ただ、それによって表現の幅が広がって変化があったものもあります。
今回のAIも僕は全く同じことを感じています。今映画などでことさら「CGを使いました」とは言いませんよね。
なぜ今みんながAIを気にしてるかというと、今「AI使ってます」って言っているからだと思うんです。今は発表しなきゃいけないので、僕らとしては「こういう新しい技術があるんです」というと、その言葉に対して反応がすごくデリケートに返ってきます。
でも言わなかったら何もわからないと思います。人間が描いたのか、プログラムがやったのかすらわからないです。